夏期学校 01

文字の大きさは、こちらで変えられます→ 小 | 中 | 大 |


夏期学校 〔少年図鑑シリィズ2〕

【第一話 ライブラリィ】



 学校の図書室で、夏休み用に貸出冊数と貸出期間が増えたのを利用して、借りられるだけ借りてゆこうと、文都は選びだしてきた本の山を持って手続きをしていた。一応、前から目をつけていた本はすべて手に入れることができ、収穫に満足していた。
 あとは持ち帰るのだけが問題だった。何しろ本と言うのはかさばると重いのだ。けれどその重さまでも幸せに感じてしまうのだから、自分はつくづく本好きなのだなあ、と文都はあらためて自分の性格を実感する。
 大人になったら、図書館の隣に住んで毎日、好きなだけ本を読もうと思う。
 背中に背負った鞄にはすでに、めいいっぱい本を詰め、両手にもそれぞれ本を抱えている姿で図書室を後にする。あとは帰るだけだ。この本たちをすべて読めるかと思うと、自然に口元には笑みがこぼれてきてしまう。
 思わず、くすり、と文都は笑みをもらして校門へと向かった。すでに学校には、ほとんど人影は残っていない。みな、さっさと休暇を楽しもうと帰ってしまっていた。
 しばらくは来ることのない建物を、ちらっと斜めに見上げる。見慣れた校舎の姿が名残惜しげな気もする。けれど夏期休暇は目の前に泳ぎきれない大海のごとく広がっていた。
 楽しい夏休みの始まりだ。あれもこれも、したいことだらけだ。
 文都は本の重みに幸せを感じつつ、そう思いながら学校を後にした。


第2話へと続く