夏期学校 05

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夏期学校 〔少年図鑑シリィズ2〕

【第五話 ライブラリィ (下) 】



 そうこうしているうちに、ライブラリィから詩都が出て来た。おまたせ、と言って夏伽に軽く駆けよる。詩都が出てくるのを夏伽は外で待っていたのだと文都は気づいた。

 夏伽に近づいた詩都は、シガー・チョコに気がつき下から見上げる。詩都は、一本もらうよ、と言って夏伽がくわえているシガー・チョコを、伸ばした薬指と中指で挟んでかすめるように奪い自分の口にくわえた。つめたくて、気持ちいい、と詩都は、冷チョコ製のシガー・チョコを指で支える。

 しかたないな、と夏伽はつぶやきポケットからあたらしい冷チョコを取り出し口にくわえると自転車をまたぎ、詩都が後ろの荷台に腰かけるのを待って出発した。二人とも妙にシガー・チョコをくわえる姿がさまになっていて、大人らしく文都には感じる。

 これからどこへ行くのだろう。文都は見送りながら、ふと思った。方向からすると、今日はプラネタリウムに行くようだ。巨大な古代天球儀がロビィに置いてある建物だ。見たことも聞いたこともない星座や惑星が彫りつけられていて、地上だけではなく、天空も古代には違った夜空だったのだろうかと文都は思う。

 そう砂流に言ったら、そうかも知れないと砂流は目を細めて微笑みながら答えた。



第6話へと続く