夏期学校 08

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夏期学校 〔少年図鑑シリィズ2〕

【第八話 臨海学校】



 小島に打ち捨てられたネオ・ゴシック様式を取り入れた白亜のリゾートホテル。その建物がそのまま生徒たちの寄宿舎に利用されていた。白いテラス付きの洒落た建物だ。裏手には小高いちょっとした森が広がっている。もちろん浜辺にはすぐ出られる。完全なプライベートビィチだ。
 こうして文都たちの臨海学校が始まった。毎日が、忙しいほどに楽しい生活だった。ただ生活するだけで楽しい生活。日記なんてつけている暇がないほどに夢中な日々。
 食事はおいしいし、気候も街とは違って暑すぎず、温かで気持ちがいい。すぐ目の前にはきれいな海が広がっていて、思う存分泳ぐことができるし、夜には星も見ることができる。そのうえ宿題もお預けなのだ。化石探しや植物観察、貝殻採集や天体観察会などの時間もあったが、それはあくまでも少年たちにとっては興味深い遊びだった。指導する理科の教師も、おもしろいエピソードに脱線しがちで、単純な授業にはならないのだった。この環境がそうさせるのだろうか。
 不満と言えば砂流とは違う部屋になってしまったことくらいだ。だけどすぐに会いたければ、いつでも会いに行くことができるし、大して気にはならなかった。
 こうして時は少しずつ進んでいく。少年たちの自覚のないまま。


第9話へと続く