夏期学校 10

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夏期学校 〔少年図鑑シリィズ2〕

【第十話 閑】



 砂流と並んで寄宿舎の廊下を歩いていると、後ろから小走りに走ってきた閑(しずか)が文都たちに追いついてきた。学校でもこうして、色々な生徒たちが二人にかわるがわる話しかけてくる。その時は二人とも一旦別れてそれぞれの用事を果たす。けれど学校から出てしまえば、二人は好きなところへ行って好きなように行動できて、二人の間に入り込んでくる者はいなかった。
 ところが、この島では朝起きてから夜寝るまでが学校内のようなものである。したがって二人でさっさと、どこかへ遊びに行くわけにはいかなかった。
 文都にとって特に気になるのは、この臨海学校では砂流に話しかけてくる者が、圧倒的に多いと言うことだった。用事があるのは砂流なのである。学校では当番や連絡事項などの用事で話しかけられるのは二人とも同じくらいなのだが。
 閑(しずか)は理科倶楽部に所属している。明日、理科倶楽部の部員たちで自然観察に行く予定なのだが砂流にも同行して欲しいのだと言う。閑の熱心な誘いに、砂流は同行を引き受けた。明日は午後から海で泳ぐことにしようと文都は決めた。


第11話へと続く