夏期学校 19

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夏期学校 〔少年図鑑シリィズ2〕

【第十九話 操縦士】



 「何してるんだい、坊主」
 砂流は低く太い声に問われて、振り返った。そこには真昼の影のように背の高い男が立っていた。真夏だと言うのに、深緑色の首巻きを巻いて、革のジャケットにズボンを身につけ、ブーツまではいている。どんなに地上が暑くても天空は息が凍るほど寒いのだと知識では知っていても、ずいぶん暑苦しそうだと感じてしまう。地上にいる時ぐらい脱げばいいのに、と砂流は思った。さすがにジャケットの前ははだけられていたが。
 「友達を探してるんだ」
 砂流は突然、現れた飛行機の操縦士らしき人物に答えた。ひょっとして知っているのではないかと期待しながらも、文都といつも一緒にいる人物ではないかと思うと、軽い反感を覚えてしまう。
 「友達? この島には子供なんていないぞ。坊主たちの学校の学生たちだけだ」
 男は誤解したらしく、的外れな答えを返してきた。
 「別にこの島で友達を作ろうなんて思ってないさ。それよりも・・・あなたは飛行機乗りなのかい?」
 ふと、あることを思いついて砂流は男に尋ねた。
 「そうだぜ。恰好通りさ」
 「だったら飛行機に乗せてくれないかな。この島の上を飛んで欲しいんだ。友達がいる場所を見つけたいんだ」
 いい考えだとばかりに砂流は男に詰め寄った。
 「そうだな・・・その探している友達と一緒に来たら、乗せてやるよ」
 男は、にやりと笑って答える。
 「なんだよ、それ」
 砂流は期待が外れてがっかりする。そんな砂流を見て、男はおもしろそうに、にやにやと笑っている。何か企んでいるようだ。
 「そうがっかりするな。ヒントをやるからさ」
 「ヒント?」
 「そう。人が隠れていそうな場所のヒントさ」
 男のその言葉に、砂流は反応した。


第20話へと続く