夏期学校 20

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夏期学校 〔少年図鑑シリィズ2〕

【第二十話 操縦士2】



 「本当に人が長時間、隠れていられそうな場所なんてあるのかい?」
 うんざりしたように砂流は男を見上げた。
 目の前のこの男にたぶらかされて、今日で何日目だろう。貴重な時間だと言うのに。臨海学校はあと何日もない。さっさと文都を見つけなければ、一緒に過ごせる時間がなくなってしまう。
 「あるさ」
 男はおもしろそうに腕を組み、にやにやと笑って砂流を見下ろしている。
 「挑戦的な目だな、坊主。俺はそういう目は好きだぜ」
 「・・・毎年、こうやって生徒たちをからかってるのかよ?」
 砂流は憮然とした表情で男をにらみつけた。
 「残念ながら行方不明になる生徒は、そうはいないぜ」
 男はひょうひょうとしたようすで答える。
 「でも、いれば捕まえて、遊んでるんだろ?」
 「諦めの悪い、執念深い子供と言うのは、そうはいないな」
 男ははぐらかすように答える。
 「あきらめのいい奴よりは男らしいだろ?」
 砂流は男に挑戦するように言う。
 「合宿の間じゅう、まるまる探してた強者もいたけどな。あれは見物だった」
 男はいかにも楽しそうに破笑した。
 「そんな奴がいたのか」
 「いたいた。くやしくて仕方がない様子だったな」
 「長い間には、いろんなことがあるもんなんだな」
 「ほんの一昨年のことだぜ」
 「一昨年?」
 砂流の脳裏に、とっさに思い当たる人物が浮かび上がる。
 「何か心あたりでもあるのか?」
 砂流のようすに、男は意外だというような表情を見せる。
 「あるさ」
 砂流はそっけなく答えた。
 「へえ、誰なんだい?」
 「あててみなよ。ヒントをあげるからさ」
 砂流は、からかうような口調でそう言うと、にやりと笑ってみせた。


第21話へと続く