夏期学校 23

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夏期学校 〔少年図鑑シリィズ2〕

【第二十三話 再会】



 文都は砂流の部屋の扉をそっとノックした。
 誰がいたって構うものか。だって会いたいんだから。
 扉の前で、どきどきしながら待つ。
 けれど砂流は留守だった。出てきた碧石が不快げに顔をしかめて、いないよ、と言い放ち扉は閉められてしまった。
 がっかりして、とぼとぼと文都は自分の部屋に戻った。
 どうしようかと思いながら自分の部屋の扉を開けると、そこには砂流が立っていた。
 「砂流!」
 こうして会いに来てくれたんだ。
 そう思うと文都は、感動にも似たうれしさでいっぱいになり、思わず砂流に飛びついてしまった。砂流はあわてて倒れないように文都の体を支える。
 「会いたかったんだ! 会いに来てくれたんだね」
 文都がそう言うと、砂流は優しい笑顔を見せた。
 「一緒に花火をする約束だったろ?」
 「花火は・・・もう、みんなとしちゃったんじゃなかった?」
 文都は急に元気をなくして、小さな声でつぶやいた。
 「あれは普通の花火さ。特別のはまだなんだ。文都に見せようと思って、とっておいたんだ。あたりまえだろ? 約束したんだから」
 「特別の?」
 「前に言っただろ? 特別製の花火を作ったって」
 砂流は左手に握った黄色い袋を、文都に見せるように持ち上げた。
 「一緒に行こう」
 そう行って砂流は手を差し出してきた。
 「うん」
 ちょっとためらった後、文都はそっと砂流の手に触れた。途端に砂流に強く握り返されてそのままひっぱられた。そのまま黙って二人とも黙々と歩いた。これから二人で花火をやりに行くのだ。


第24話へと続く