夏期学校 24

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夏期学校 〔少年図鑑シリィズ2〕

【第二十四話 花火】



 色とりどりの花火が二人の頭上の夜空に広がった後、そのまま明かりが二人の上に降り注いできた。文都はびっくりして頭を抱える。だが何も起こらない。やけどもしない。そっと腕を外して見ると、砂流が嬉しそうに笑っている。
 次の花火が落ちてきた。今度は落ちついて落ちてくる光の粒を、手でそっと受け止めると、それは掌の上で溶けて消えてしまった。まるで雪を受け止めた時のように。
 「これは何?」
 文都は同じように掌で落ちてくる光を受け止めている砂流に向かった聞いた。
 「炎の化石。氷炎と呼ばれている稀少鉱物さ」
 雪のように熱で溶けて消えてしまう氷炎は、稀少な鉱物が発火する時の現象のことを言う。固形物の鉱物が発火すると一瞬で気体に変わり、色々な色の光の粒に変わるのだ。
 でも、こんなにもたくさん、どうやって手に入れのだろう。文都が不思議に思っている間にも砂流は話し続けている。
 「大変だったんだぜ。何しろ熱で溶けてしまうから火薬が爆発する時に全部一度に溶けて消えてしまうから、ひとつひとつの粒を膜でおおったんだ」
 砂流は少し照れたように、それでも成功したことに満足そうに説明をした。一通りの説明を終えると、砂流はしゃがんで仕掛花火に火を点火し、立ち上がって文都の隣に立ち夜空を見上げた。
 ぽん、ぽん、と音がする。
 また数個の花火が上がった。
 天空から花火が落ちてくるにしたがって大きく見えるようになるのだが、見上げていると、まるで自分たちの体が浮かんで、花火に引き込まれていくように感じるのだった。


第25話へと続く