歌少年 08

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歌少年 ~音楽の守人~ 

〔少年図鑑シリィズ3〕


~~~~第8話 青い靴の少年~~~~



 あわててオルゴールの方を見ると扉が閉じられてゆくところだった。終わってしまったのかと、がっかりしていると、ほどなく扉が開き初め演奏が続けられた。どうやら二回目の演奏らしい。そうか、オルゴールは回した螺子が止まるでは演奏が何度でも繰り返されるのだったと文都は気づいた。それで落ちついて次の演奏を見た。
 両側に開かれた扉の中に、確かに青い靴をはいた少年の姿が現れる。少年はくるくると二回ほどその場でまわると森の中へ入って行った。
 次に緑色の森に鉄砲を背負った狩人のような男が入って行き、白い袋を背負って出てきた。すると緑の森が黄色に変わり、斧を背負った木こりが黄色くなった森へ入って行き、同じように白い袋を背負って出てくる。するとまたしても黄色の森は赤い森に変わり、髭もじゃの人相の悪い男が入って行き、白い袋を持って出てくる。森は灰色に変わり、いかにも悪人風の男が入って行き、白い袋と共に出てくる。最後には木だけになった森に普通のかっこうをした男が入って行き白い袋を持って出て来て、扉は閉じられた。
 確かに青い靴をはいた少年は出てきたが、最初にほんの少しだけだ。関係あるとは思えないけどな、と思いながら文都は砂流の顔を「偶然じゃない?」と言う顔で見た。
 「演奏だけじゃないぜ。あのオルゴールの箱の模様を見てみろよ」
 砂流はそう言いながら目配せした。
 そう言われて、もう一度オルゴールを見直して見ると、幾何学的な飾り模様が彫りつけられていると思い込んでいた模様が、靴の形をしていることに気づいた。いくつもの靴が連続した模様となって浮き彫りされている。単純化された模様だったが、それが連続していくつもつながってゆくと、目に幻覚を起こし壮麗な模様に見えてくる。
 その上、オルゴールの箱自体も上品で落ちついた青い色をしている。確かに青い靴だと言えないこともない。けれどオルゴールの奏でる音色からは歌の歌詞まではわからない。
 そう思って、文都は砂流に言おうと顔を向けると、砂流はじっと演奏され続けるオルゴールの箱の方を凝視していた。

        第9話 へと続く