歌少年 12

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歌少年 ~音楽の守人~ 

〔少年図鑑シリィズ3〕


~~~~第12話 ふたつの意味~~~~



 「結局、砂流にも夏伽の読んでた詩に意味はわからないの」
 カフェテリアで昼食を食べながら文都は聞いてみた。
 「ああ、あの詩か」
 砂流はワンプレートランチの上にのっているオムレツとポテトをスプーンですくいながらあいづちを打った。
 「あの詩は神様への信仰心を歌った詩だよ」
 そう言って砂流はスプーンですくったオムレツとポテトの一口を口に含む。
 文都はワンプレートランチの上の小さめのホット・ハーブサンドを食べながら、砂流の顔を見上げた。
 「神さまへの信仰? 夏伽が何でそんなものを読むんだよ」
 文都は違和感を感じていぶかしむ。ハーブサンドを食べおえると、紙ナプキンで軽く指先をぬぐい、ホットミルクに手をのばした。
 「もっとも、あの詩にはもう一つの意味があって、神様への信仰とは別に・・・こ」
 そう言いかけていた砂流の言葉が突然、途絶えた。飲みかけのホットミルクの純白の表面を見つめていた文都は、どうしたんだろうと視線を上げる。すると砂流は親指を口にあて、ああ、そうか、そう言うことなのか、とか何とかつぶやいている。
 「わかったぜ。文都」
 突然、砂流は明るい声を出した。
 「な、何が?」
 驚きながらも、こういう時は聞き返してあげるのが礼儀と言うものだろう。文都も礼儀正しく聞き返してあげた。
 「だから、さ。青い靴の歌の意味がさ」
 砂流はご機嫌なようすで片目をつぶってみせた。
 「どんな意味?」
 「あの詩は別の意味が隠されているってことさ。死の暗示だけではなかったんだ」
 「死?」
 意外な言葉に文都は、確認するように単語をくりかえした。
 「そう。死の暗示さ。少年が森から戻って来ないのは、どうしてだかわかるかい?」
 「・・・死んでしまったってこと?」
 文都は小さな声で答えた。
 「そう。文都も青い靴の少年が死に結びついていることは感じていたはずだ。誰でもそう思う。だから最初は少年が森で死んでしまった後に、靴屋が死体から靴を盗むことを歌っている歌だと思ってたんだ。だけど、それでは他の登場人物たちは、何を森から持って帰るのかがわからなくなってしまう」
 砂流の説明を、文都は黙って時々頷きながら聞いていた。
 「それで彼らが持って帰ったものは何だろうと考えてみたんだ」
 うん、と言うように文都は大きく頷いた。
 「そのことを考えてみたら、青い靴の歌は、単なる不思議な言い伝えとして歌われていたのではないと言うことに気づいた。別の目的があったのさ」
 「別の目的?」
 おやつにそえられた焼きチョコレートの一粒だけが、それぞれのプレートの上に残されていた。これを食べれば昼食は終了だが、二人とも手をつけずに会話を続けていた。
 「そう。商売のための宣伝に使われていたんだ」


         第13話へと続く