絵の中の記録 05

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絵の中の記録 (ユリ・シリーズ)

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 「フランス北部だってさ。その辺りに行った覚えはないのかよ?」
 加賀野が、オレをひじで突きながら促してくる。
 「フランスには何回か行った覚えがあるけど」
 パリの店や、とにかく観光地の店を引き回されたことぐらしか、記憶に残ってない・・・
 「なんだよ。頼りないな」
 加賀野は、がっかりしたようにテーブルに肘をついて顎をささえた。  
 「まあ、地域は大体、特定できたとして、気になるのは、どうして納屋から牧師だか神父だから出てきたのかだ」
 由良の友人が、そうつぶやいた。
 「どうして?」
 由良が小首を傾げながらたずねる。
 「牧師が。何のために納屋になんか入っていたんだ?」
 「それもそうだな」
 加賀野が納得したように答える。
 「きっと納屋のニ階に子供か、使用人の部屋でもあったんだよ」
 由良がふたたび、思いついたと言った感じで口を開いた。けれども講師が軽く頭を振ってその案も否定した。
 「それは無理だな。この様式の建物は二階建てと言っても、中二階式で、壁なんかないものだからね。とても人が住めるような空間じゃないさ。まあ普通は藁なんかを乾燥させて保存しておく場所に使われているものだね」
 「じゃあ、何で牧師さまが、そんな場所にいたのかなあ・・・」
 そんな由良の言葉は、みんなの気持ちを代表しており、そのまま皆、それぞれの考えに思いをはせているのか、黙り込んでしまった。



その6へ続く