廃都 2

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~廃都 2 ~




ひとは自分を守るために要塞である都市を造ったはずなのに。
そのなかにいてもなお、傷つけられることから、のがれることはできない。





  それから独身のおば。ジェメーロ。このおばには双子の妹、モナヒーノがいたそうだけれど、修道院に入っているときに、熱病の流行っている地域の人々の手助けをするために派遣されてしまったそうだ。
 でも、おれたちの国も長い長い内戦で、助けが欲しい人は、いっぱいいるんだけどな。
だけど母さんに言ったら、そんなことを言ってはいけないって。宗教とはそんなものではないのだから、なんて言っていた。ともかくも、おばは、町の人の面倒を見てまわっている。
 それから一人目の祖母。寝ているのか、おきているのかよくわからないけど、たいてい台所の片隅の椅子にうつむいてずっと座りつづけている祖母。でもご飯をたべるときは動いているから、よくわからないけど、祖母だ。
 それからもう一人の祖母。アリランド。活動的ではないけれど、ペトラーチョの小さなリボンをつくったりして、ペトラーチョのお気に入りだ。だからちょっと気に入らないんだけど、まあそこは女同士ということで、嫉妬をするのもなんだと、我慢することにしている。そのかわり、ペトラーチョと外で遊ぶのは、おれの役目なのだ。
 この祖母はどうも外国に住んでいたことがあるらしい。だってセンブレアと、外国語で話していたりするから。
 外国語は嫌いだ。だって何を話しているのか分からないじゃないか。秘密の言葉を話すなんて、ずるいよ。
 あとでセンブレアに何を話していたのかと聞くと、祖母が若いころを過ごした大国の話だと答えた。そのころ祖母はいろいろな国を見てまわったそうなのだ。そのころ、この国は平和で豊かな国だったんだそうだ。
 それから灰色のやわらかいひげが顔をおおっている叔父。グランダ。くまみたいに大きな体つきをしている。手も足も大きい。おれたちの家のなかで、いちばんの男の働き手じゃないかな。結婚していたのかどうかはわからないけれど、今は独身みたい。
 器用で、がらくたでなんでも造ってしまう。俺のおもちゃも。どこかで金属を拾ってきて、ぴかぴかに磨いて小さな鏡台をつくって姉のコレーリィに誕生日の贈り物としてプレゼントしたときは、おこりんぼの姉も一週間は俺に対しても機嫌がよかった。
 やさしいおじのセンブレアの杖を造ったのも、この器用な叔父だ。



廃都3へ続く