廃都 7

文字の大きさは、こちらで変えられます→ 小 | 中 | 大 |

~廃都 7 ~




ひとは自分を守るために要塞である都市を造ったはずなのに。
そのなかにいてもなお、傷つけられることから、のがれることはできない。





 今日、宇宙人のようなかっこうをした人間を見つけた。
 ペトラーチョは喜んで指さしてついてあるく。外国の新聞記者だ。おれとペトラーチョを見ると質問をしてきた。
 君は知っているのかい?
 聞かなくてもそのあとに続けられる言葉をおれは知っている。
 生きる者を、死へと導く汚染された都市。お前は死ぬんだと断定している。忌まわしいものを見るような目つき。
 なんでそんな目で俺たちを見るんだ。おまえたちには、けっしてうつったり、感染したりしないのに。
 おれがおまえよりも死により近い存在だと、どうして決めつけることが出来る。おれが死ぬことが、おまえにとってどれほど気にさわることだと言うんだ。まったく関係ないというのに。
 第一、おれたちにもっといい場所をあたえてくれるのでもないのに。見に来るだけで。まあ、見にくるのはそっちの勝手さ。だけど、どうしてそんなさげすむような目で見るんだ。
 おれがおまえより劣るのか。おれの上にも、お前の上にも、ひとしく死はおとずれるというのに。ひとをさげすむのは、何を基準にしているんだ。
 ここにいるということは、今、殺されるんじゃないと言うことなんだ。ここにいれば、いずれは死ぬというだけだ。そしてそれはどこでも同じことだ。
 今殺される国に帰れというのか。こいつらの質問は、ばかげてる。
 おれたち家族は今、固いしっかりとした大地の上に立っている。たとえ寿命が千年あったとしても、その千年間、おびえつづけて生きるくらいなら、一日の命だって、家族と大好きな人達と幸福感を味わえるのなら、そのほうがいい。かげろうは、一週間の命だって後悔していないはずだ。ねこだって、犬だって。哀れに思うのは、思うほうがその瞬間、生きているからだ。自分にもその瞬間が来ることを忘れて。いや、怯えてるのかもしれない。



廃都8へ続く