廃都 8

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~廃都 8 ~




ひとは自分を守るために要塞である都市を造ったはずなのに。
そのなかにいてもなお、傷つけられることから、のがれることはできない。





 朝起きると、まず妹と畑に行く。二人でつくった花壇の花の様子を確かめに行くのだ。そのあとはかくれんぼをしたり、おいかけっこをしたりして遊ぶ。大きな声で笑ったり、呼びあったりしても、誰も苦情を言わない。そのあとは、大きなお屋敷にもどって朝ごはんだ。たっぷりとはないけれど、みんなそろって食卓についている。話をする。
 そのあとは?
 もちろん学校なんてない。また遊びに行くんだ。そして昼食。昼食後は妹はお昼寝の時間だから、その間は家の手伝いをする。そのあとは、時間があれば屋敷内の探検だ。なにしろすごく大きなお屋敷だから、いくつ部屋があるのか、今、数えているところなんだ。でもいつも一階を数えているうちにわからなくなってしまう。それに建物もいくつもあるし。そのうえ庭だってひろすぎる。庭も探検しなくては。グランダおじさんは、西のほうに大きな湖があると言っていた。ボートにも乗りたいなあ。
 コレーリィ姉さんは、ドレスをしまってある部屋を見つけたらしい。そこを自分の部屋にしてしまった。あんなにたくさんの服、町中の人が着ても、あまってしまうぐらいだ。どうやって着るつもりだろう。
 センブレアは、離れの建物を見つけたらしい。書庫になっているそうだ。俺も一度行ってみたけれど、小さい文字の本ばかりで、つまらなかった。でもセンブレアは、嬉しそうだった。だから、まあ、いいんだけどさ。
 でも、本ばかり読んでいたら、体に悪いから庭の探検に誘うことにしよう。天気のいい日に、母さんにお弁当をつくってもらって、ふたりで行くんだ。俺はその計画を立てた。



廃都9へ続く