廃都 9

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~廃都 9 ~




ひとは自分を守るために要塞である都市を造ったはずなのに。
そのなかにいてもなお、傷つけられることから、のがれることはできない。





 計画を立てていたので、くやしい。
 グランダおじさんが、今日、センブレアを湖に誘ってふたりで行ってしまったらしい。母さんが、お弁当をつくったと言っていた。それじゃあ、夕方まで帰ってこないじゃないか。
 きっとグランダおじさんは、センブレアをボートに乗せるつもりだ。足に負担もかからないし。おれが、一番にセンブレアを探検につれて行くつもりだったのに。いろんな場所を案内して、センブレアに見せようと計画していたのに。
 おれは、予定によこやりをいれられて、帰ってきたグランドおじさんに、ふくれつらをおみまいし、口をきかなかった。でも、一緒に帰ってきたセンブレアが、でも森には、おまえと一番最初に行くよ、と約束してくれたので、おれは少し気分がよくなった。センブレアは、わかってくれたんだ。



 センブレアは、物知りだった。どんな草や実が薬草になるかや、森で迷子になったときに、帰り道の見つけ方なんかを、おれに教えてくれた。これでどんなに庭を探検しても迷うことはないぞ、と明日から、本格的探検を試みることにした。
 夕食のときにそのことを話したら、グランダおじさんが次の日の朝、笛をプレゼントしてくれた。ぷぉーっと言う、結構大きな音がする笛だった。
 おれは首からそれをぶらさげた。迷子になったら吹くようにとグランダおじさんは言った。それで俺たちは仲直りをしたんだ。



廃都10へ続く