散歩

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散  歩



 なにげなく、ふと晴れた空を見上げてみたら、そこに白い道が見えた。
 見上げた空には、飛行機雲の道ができていた。
 春の近い季節、ちょっぴり寒い澄んだ青い空に、ふわふわの白い石畳みたい
な雲の道。
 つい、歩いてみたくなる。
 だから、雲の道をたどって歩いてみることにした。
 道は、まっすぐと遥か遠くまで続いている。どこまで続いているのだろう。
 どこへ行く道なのだろう。
 空の道は、まっすぐだけれど、地上の道はまわり道をしなくちゃならない。
 でも、空の道は決して見失うことはないから、空を見上げながら歩いてゆく。
 白い道は、どこまでも、どこまでも続いている。
 もう、僕の町から出てしまった。でも、いいや。だって、とても気分がいい
から。
 こうして青い空の中の白い雲の道を歩いていると、他のものは何も目に入ら
ない。どこへ行くのかわからないけれど、何も不安はない。
 風が運んでくる花の香りが、あんまり気持いいものだから。ほんのりあまく
て、ふんわりあたたい春の初まりの香りだ。
 いつのまにか知らない街を歩いていた。
 でも、空の道はまだまだ続いているから、僕は進んでゆく。
 道に導かれて・・・いったいどこに行く道なんだろう。

 だんだんと、でこぼこになって、道幅が広がっていって、とうとう、雲の道
は空と見分けがつかなくなってしまった。
 僕はしかたがなく足をとめる。
 ここが到着地なんだろうか?
 この青い空が。

 うん。きっと、そうだ。
 白い雲の道は、このきれいな青い空につながっていたんだね。
 僕は、うれしくなって、にっこり笑いながら、僕の目の前の青い空を眺めた。

 これが、今回の僕の冒険。


        おわり